2026年3月期の本決算および第1四半期決算が集中する中、5月1日の東京株式市場は、前日までに発表された決算内容を精査した投資家による選別物色が鮮明となりました。

「実績の良化」だけでなく「今期予想の力強さ」や「株主還元の拡充」を示した銘柄に資金が集中し、東証プライム市場ではストップ高水準まで買われる銘柄も現れるなど、活況を呈しています。

特にゴールデンウィークの合間という限られた取引時間の中で、市場の期待を大きく上回るポジティブ・サプライズを提供した企業には、個人投資家から海外機関投資家まで幅広い層からの買いが入りました。

本記事では、5月1日の大引け時点で顕著な上昇を見せた「決算プラス・インパクト銘柄」を詳細に分析し、その背景にある要因と今後の株価動向を深掘りします。

5月1日時点:決算プラス・インパクト銘柄ランキング(東証プライム)

以下の表は、決算発表前日の4月28日の終値を基準とし、5月1日の大引け時点での上昇率をまとめたものです。

順位コード銘柄名上昇率(%)決算期経常変化率(%)
13696セレス+37.931Q343.47
25332TOTO+18.43本決算-3.61
34709IDHD+14.30本決算8.02
49110ユナイテド海+12.79本決算4.06
58103明和産+10.48本決算8.16
65333NGK+9.66本決算10.29
76981村田製+6.16本決算26.36
88035東エレク+5.09本決算
99202ANAHD+3.06本決算-37.63
109501東電HD+0.26本決算

驚異的な進捗率を見せたトップ銘柄の分析

セレス(3696):経常利益4.4倍の衝撃

今回のランキングで圧倒的な首位となったのは、モバイルマーケティングやポイントサイト「モッピー」を運営するセレス (3696.T)です。

同社が発表した2026年12月期第1四半期 (1-3月) の連結経常利益は、前年同期比4.4倍の 15.6億円 に急拡大しました。

通期計画である28億円に対する進捗率は55.8%に達しており、第1四半期時点で既に通期の半分以上を稼ぎ出した計算になります。

この急成長の背景には、主力のポイントプラットフォーム事業における広告需要の回復に加え、同社が注力している持分法適用関連会社を通じた暗号資産(仮想通貨)関連事業の収益貢献があると見られます。

市場では「通期計画の早期上方修正は必至」との見方が強まり、株価は前日比で 37.93%という記録的な上昇 を見せました。

ユナイテッド海運(9110):一転増益の見通しで買い安心感

海運セクターからはユナイテッド海運 (9110.T)が上位に食い込みました。

2026年3月期の連結経常利益見通しについて、当初の減益予想から一転して前の期比10.7%増の 210億円 になると発表。

これが強烈なポジティブ・サプライズとなりました。

海運業界は市況の変動が激しく、慎重な見通しを出す企業が多い中で、同社の 「減益予想から増益への転換」は投資家に強い買い安心感を与えました。配当方針への期待も相まって、株価は決算発表を経て大きく水準を切り上げています。

製造業とハイテク:グローバル需要の底堅さを評価

TOTO(5332)とNGK(5333):住宅・環境関連の持ち直し

TOTO (5332.T)は本決算発表において、今期の経常変化率こそマイナス予想ではあるものの、市場予想を上回る着地と株主還元策が好感され、18.43%の上昇 を記録しました。

同様にNGK (5333.T)も環境関連製品の需要回復を背景に、今期10.29%の経常増益を見込み、株価は堅調に推移しています。

村田製作所(6981)と東京エレクトロン(8035):半導体サイクルの恩恵

日本を代表するハイテク銘柄である村田製作所 (6981.T)東京エレクトロン (8035.T)もプラスの反応を示しました。

村田製作所は今期経常利益が26.36%増と大幅な回復を見込んでおり、スマートフォン向け電子部品の在庫調整完了と、生成AIサーバー向け需要の拡大が追い風となっています。

東京エレクトロンについても、半導体製造装置の次世代プロセス向け投資が活発化しており、「半導体関連の成長ストーリーは不変」 であることが改めて確認されました。

決算後の株価影響と今後の投資戦略

決算発表を受けた株価の反応は、大きく分けて以下の3つのパターンに分類されます。

1. 上昇:期待値を超えるガイダンスと上方修正

今回のランキング上位銘柄の共通点は、単に過去の実績が良かっただけでなく、将来の収益見通し(ガイダンス)がコンセンサスを上回った 点にあります。

特にセレスのような進捗率の高さは、将来の上方修正を先取りする形で買いを呼び込みます。

2. 下落:好決算でも「材料出尽くし」

一方で、実績が良くても株価が下落するケースも散見されます。

これは、決算発表前に期待感から株価が上昇しすぎていた場合や、今期予想が市場の強気な期待に届かなかった場合に起こります。

今回のリストには含まれていませんが、決算内容が「想定の範囲内」にとどまると、利確売りに押されるリスクがあります。

3. よこばい:不透明感の払拭待ち

東電HD (9501.T)のように、黒字化や復配などのポジティブな要素がありながらも、外部環境や政策的な不透明感が残る銘柄は、株価が小幅な動きにとどまりやすい傾向にあります。

まとめ

2026年5月1日の市場は、決算内容の良し悪しがそのまま株価の明暗を分ける「業績相場」の様相を呈しました。

特に セレス (3696) のような爆発的な利益成長 や、ユナイテッド海運 (9110) のような一転増益のシナリオ は、投資家にとって最も魅力的な買い材料となります。

これからの投資戦略としては、単に上昇率を追うだけでなく、その上昇が「一時的な利益」によるものか、あるいは「構造的な収益力の向上」によるものかを見極めることが重要です。

特に経常利益の進捗率が極端に高い銘柄や、市況の反転を捉えた銘柄は、ゴールデンウィーク明け以降も継続的な物色の対象となる可能性が高いでしょう。

投資家は、個別の決算数値の裏側にある「事業の継続性」と「市場シェアの変化」に引き続き注目すべきです。