アクモス 6888 は2026年4月30日、2026年6月期第3四半期(2025年7月-2026年3月)の連結決算を発表しました。

今回の決算では、売上高が前年同期比で2ケタの増収を記録した一方で、各利益項目については大幅な減益を余儀なくされるという、明暗の分かれる内容となりました。

特に、積極的な成長投資とコスト高の影響が利益面を圧迫しており、通期業績予想の下方修正も同時に発表されています。

2026年6月期第3四半期 連結業績の概況

今第3四半期累計期間におけるアクモスの業績は、売上規模の拡大が顕著に見られました。

しかし、利益面では先行投資や外部環境の変化が重なり、厳しい結果となっています。

項目実績値(百万円)前年同期比
売上高5,698+17.6%
営業利益409-17.2%
経常利益412-17.3%
四半期純利益250-22.3%

売上高は前年同期から約8.5億円増加し、56億円を突破しました。

これは、株式会社システムズサービスの子会社化や、主力のITインフラ事業が官公庁および民間企業のDX需要を的確に捉えたことが主因です。

しかし、営業利益以下の各利益項目は17%から22%を超える減益となっており、収益性の向上が喫緊の課題として浮き彫りになりました。

セグメント別の詳細分析と成長投資の現状

アクモスは主に「ITソリューション」「ITインフラ」「ITサービス」の3セグメントで事業を展開しています。

それぞれの動向を詳しく見ていくと、現在の同社の立ち位置がより明確になります。

ITソリューション事業:M&Aと防災事業の現在地

ITソリューション事業の売上高は36.44億円(前年同期比21.6%増)と大幅に伸長しました。

今期より連結対象となったシステムズサービス社による金融分野のSES提供開始が寄与しています。

また、同社が成長領域(Growth)と位置づける消防防災事業では、全国5カ所の消防本部へ消防通信指令システムSYMPROBUS Fシリーズを納入するなどの実績を上げています。

一方で、営業利益は2.53億円(同11.4%減)に留まりました。

これは消防防災事業における機器・資材の調達コスト上昇が主な要因です。

ただし、受注残高は消防通信指令システムを中心に前年同期比66.8%増の9.58億円まで積み上がっており、今後の売上転換への期待感は高いと言えます。

ITインフラ事業:利益面でも順調な柱

今回、最も好調だったのがITインフラ事業です。

売上高10.78億円(前年同期比37.4%増)、営業利益1.65億円(同23.4%増)と、増収増益を達成しました。

官公庁のLGWAN環境整備や外部接続環境の構築、安全保障関連の基盤構築案件などが計画通りに進捗し、保守運用フェーズへの移行もスムーズに行われています。

DX化の波を直接的な利益に結びつけている唯一のセグメントとして、グループ全体の屋台骨を支えています。

ITサービス事業:第三者保守の苦戦

ITサービス事業は売上高10.49億円(前年同期比3.6%減)、営業利益0.50億円(同55.2%減)と、唯一の減収減益となりました。

メーカー保守が終了した機器を扱う「第三者保守サービス」において、新規受注が解約を下回る事態が発生しており、計画を大きく下回っています。

BPOサービスや病院情報システムの維持管理は堅調ですが、第三者保守の低迷をカバーするには至っていません。

通期業績予想の下方修正とその背景

決算発表と同時に、アクモスは2026年6月期通期の連結業績予想を修正しました。

売上高は上方修正されたものの、利益面は当初予想を大きく下回る見通しです。

項目修正後の通期予想(百万円)前回予想からの増減率
売上高7,500+7.1%
営業利益450-35.7%
経常利益450-35.7%
当期純利益340-24.4%

売上高が上方修正された背景には、積極的なM&A戦略による規模拡大があります。

一方で利益が大幅に下方修正されたのは、以下の要因が複合的に絡み合っているためです。

  1. 調達コストの高騰:消防防災事業等におけるハードウェアの仕入れ価格上昇が利益を圧迫。
  2. 人材への投資:将来の成長を見据えたエンジニアの確保や、M&Aに伴う統合プロセスのコスト発生。
  3. ITサービス事業の低迷:採算性の高い保守サービスの解約増による利益ミックスの悪化。

株価への影響と今後の投資判断

今回の決算および下方修正を受け、短期的な株価は「下落」の可能性が高いと考えられます。

市場は同社の売上成長以上に、利益率の低下と下方修正というネガティブなサプライズに反応しやすいためです。

特に営業利益が前回予想比で35.7%も引き下げられた点は、投資家心理を冷え込ませる要因となります。

しかし、中長期的には「よこばい」から「緩やかな回復」を目指す局面に入ると予想します。

根拠となるのは、ITソリューション事業における豊富な受注残高です。

消防通信指令システムの受注残が前年比で激増している事事実は、今後の収益貢献への「貯金」となります。

また、ITインフラ事業が確実に利益を出せていることも評価に値します。

今後は、コストアップ分を価格へ転嫁できるか、そして買収したシステムズサービス社とのシナジーを早期に発揮し、利益率を再浮上させられるかが、株価回復の鍵を握ることになるでしょう。

まとめ

アクモスの2026年6月期第3四半期決算は、売上高56.98億円と高い成長性を示した一方、営業利益は4.09億円と前年を割り込む結果となりました。

ITインフラ事業の躍進や防災事業の受注増といったポジティブな要素は多いものの、第三者保守の苦戦やコスト高に伴う通期利益の下方修正が重い足かせとなっています。

投資家の視点では、現在の株価下落は将来の売上成長を織り込むための「調整」と見ることもできますが、まずはセグメント利益が底打ちを確認するまで、注視が必要です。

官公庁や金融分野での強固な基盤を持つ同社が、この「増収減益」の壁をいつ突破できるのか、次回の本決算および新年度の計画発表が非常に重要な試金石となるでしょう。