ナブテスコ(6268.T)が発表した2026年12月期第1四半期 (1-3月) の連結決算は、最終利益が前年同期比67.0%増の54億8300万円と極めて好調な滑り出しとなりました。

これを受け、同社は通期の最終利益予想を従来の176億円から186億円へと上方修正しました。

しかし、翌5月1日の株式市場ではこの発表が「ポジティブ・サプライズ」とは受け止められず、株価は軟調な展開を強いられています。

利益の「中身」を精査する投資家たちの間では、本業の成長性に対する疑問が拭えていないようです。

2026年12月期第1四半期決算の概況と上方修正の背景

最終利益を10億円増額、前年比で大幅な伸びを達成

ナブテスコが今回発表した第1四半期実績および通期予想の修正内容は、一見すると非常にポジティブな数値が並んでいます。

売上高についても、第1四半期時点で前年同期を16.9%上回る830億3200万円を計上しており、事業規模の拡大が確認されました。

項目第1四半期実績 (前年同期比)通期予想 (修正後)
売上高830億3200万円 (+16.9%)3350億円 (据え置き)
営業利益非開示据え置き
最終利益54億8300万円 (+67.0%)186億円 (前期比+18.5%)

第1四半期における最終利益が前年比で約1.7倍に急拡大したことは、数値の上ではインパクトのある結果となりました。

業績修正の主因は「営業外」の要因

今回の最終利益上方修正の背景を深掘りすると、いくつかの特殊要因が浮かび上がります。

まず、持分法による投資利益が当初の想定を上回ったことが挙げられます。

さらに、法人税などの税金費用の見直しが発生したことで、税引き後の利益が押し上げられました。

つまり、今回の利益増額は、製造コストの低減や販売価格の引き上げといった本業の稼ぐ力の向上によるものではないという点が重要です。

市場がこの上方修正を「物足りない」と評価した最大の理由はここにあります。

市場の反応と「物足りなさ」の正体

売上高と営業利益の据え置きが重石に

株式市場がネガティブな反応を示した大きな要因は、売上高と営業利益の通期見通しが据え置かれたことにあります。

投資家が最も重視するのは、産業用ロボット向け精密減速機や建設機械用油圧機器といった、ナブテスコの主力事業がどれだけ利益を生み出せるかという点です。

最終利益が税金や営業外収益で増えたとしても、営業利益が据え置かれたままでは、事業環境そのものが劇的に改善したとは見なされません。

特に、中国市場の需要停滞やエネルギー価格の変動といった不透明感が残る中で、本業の収益見通しが据え置かれたことが、失望売りに繋がったと考えられます。

今後の株価展望:上昇・下落・よこばいの分析

短期的には下落基調、中長期では本業の回復待ち

今後の株価推移について、3つのシナリオを整理します。

  1. 上昇のシナリオ
    今後、半導体製造装置やロボット需要の本格的な回復が確認され、第2四半期以降に営業利益ベースでの上方修正が示唆された場合に限られます。現在の株価水準から一段上を目指すには、本業の力強い回復が不可欠です。
  2. 下落のシナリオ
    短期的には下落が続く可能性があります。今回の修正で利益目標に対する「期待の先食い」が解消されたことに加え、外部環境の悪化が重なれば、さらなる調整局面を迎えるでしょう。
  3. よこばいのシナリオ
    中長期的には横ばいの推移が予想されます。最終利益の増加により配当余力は高まっているため、下値では買い支えが入るものの、決定的な好材料が出るまではレンジ内での動きが続くでしょう。

まとめ

ナブテスコの2026年12月期第1四半期決算は、最終利益の大幅増益と通期予想の上方修正という華やかな見出しの一方で、その実態は営業外要因に支えられたものでした。

市場はこれを敏感に察知し、本業の回復の遅れを懸念して株価は軟調な動きを見せています。

今後の焦点は、据え置かれた営業利益予想が上方修正されるような、主力事業の需要回復が見られるかどうかに集約されます。

投資家としては、次の四半期決算で「利益の質」が改善しているかを注視する必要があるでしょう。