2026年4月、暗号資産(仮想通貨)市場は極めて重要な転換点を迎えています。
米最大手取引所のコインベース(Coinbase)とオンチェーンデータ分析企業のグラスノード(Glassnode)が共同で実施した最新の「グローバル・インベスター・サーベイ」の結果によると、市場参加者の大多数が現在のビットコイン(BTC)価格を実態よりも低い「過小評価」の状態にあると判断していることが明らかになりました。
本記事では、この調査結果を軸に、各種オンチェーン指標が示す強気相場への予兆や、機関投資家の心理的変化について多角的な視点から詳しく解説します。
投資家の心理変容:弱気相場の「最終段階」への共通認識
今回の調査において最も注目すべき点は、投資家たちが現在の市場フェーズをどのように定義しているかという点です。
2026年3月16日から4月7日にかけて行われた世界91のグローバル投資家(機関投資家29、個人・非機関投資家62)へのアンケートでは、市場の成熟と底打ちを期待させるデータが揃いました。
機関投資家と個人投資家の認識の乖離と一致
調査によると、機関投資家の82%および非機関投資家の70%が、現在の市場を「弱気相場の終盤」または「価格の下落が一段落したマークダウン・フェーズ」であると分類しています。 これは、わずか数ヶ月前の2025年12月時点では、同様の回答をした層が全体の約3分の1に過ぎなかったことと比較すると、投資家心理が急速に「底打ち」への確信を強めていることを示唆しています。
特筆すべきは、ビットコインの適正価格に関する評価です。
機関投資家の75%、非機関投資家の61%が「ビットコインは過小評価されている」と回答しており、現在の価格水準を絶好の仕込み時と捉えている層が圧倒的多数を占めています。
一方で、現在の価格を「過大評価」と判断している層はごく僅かであり、市場全体に蓄積された買い圧力が顕在化しつつある状況と言えるでしょう。
ビットコイン・ドミナンスの推移予測
ビットコインが市場全体に占める割合を示す「ドミナンス」についても、興味深い予測の変化が見られました。
| 投資家タイプ | ドミナンス上昇を予想 | ドミナンス横ばいを予想 | ドミナンス低下を予想 |
|---|---|---|---|
| 機関投資家 | 25% | 54% | 21% |
以前の調査では40%の機関投資家がドミナンスの上昇を予想していましたが、現在はその割合が25%まで低下しています。
これは、ビットコインの価格安定後にアルトコインへの資金循環が起こる、いわゆる「アルトシーズン」を予見する動きとも解釈できますが、依然として現在の58.1%という高いドミナンス水準が維持されると見る向きが主流です。
オンチェーン・データが裏付ける「バリュー・ゾーン」への突入
投資家の主観的な心理だけでなく、ブロックチェーン上の客観的なデータ(オンチェーン・データ)もまた、ビットコインが歴史的な買い場にあることを強力に裏付けています。
BCMI指数と複合指標の分析
仮想通貨アナリストのWoominkyu氏が提唱する「ビットコイン複合市場指数(BCMI)」は、現在の相場を分析する上で極めて有用なツールです。
この指数は、以下の複数の指標を統合して算出されます。
- MVRV (Market Value to Realized Value): 時価総額と実現時価総額の比率。
- NUPL (Net Unrealized Profit/Loss): ネットワーク全体の未実現利益と未実現損失の差。
- SOPR (Spent Output Profit Ratio): 使用されたコインの利益確定・損失確定の割合。
最新のデータでは、BCMI指数が0.26から0.37へと急上昇しました。 歴史的に見て、この数値水準はビットコインが「深い過小評価フェーズ」にある際に出現するものであり、現在の売り圧力が限界に達しつつあることを示しています。
90日平均線は依然として下降トレンドにあるものの、これは短期的な売りを消化しているプロセスであり、長期的なアップサイド(上昇余地)と比較して、ダウンサイド(下落リスク)が極めて限定的である「バリュー蓄積ゾーン」に突入したと考えられています。
短期保有者の動向とUTXO年齢層の変化
短期的な流動性と投機熱を測る指標である「実現時価総額のUTXO年齢層(1週間〜1ヶ月保有)」にも顕著な変化が現れています。
この指標は3.91%まで低下しており、これはビットコインが約27,000ドルで取引されていた2023年10月の水準に匹敵します。
歴史的なパターンを分析すると、この指標がこれほど低い水準まで落ち込んだ場合、概ね3ヶ月から6ヶ月以内にサイクル上の大底が形成される傾向があります。
現在は「最終的な底打ち」が完全に確認されたわけではありませんが、統計的には極めて過小評価された領域に位置していることは間違いありません。
マクロ経済環境とビットコインの独自要因
ビットコインの価格形成には、仮想通貨市場内部の要因だけでなく、外部のマクロ経済環境も大きな影響を及ぼします。
FRBの政策と新議長の影響
現在の市場が警戒、あるいは期待を寄せているのが米連邦準備制度理事会(FRB)の動向です。
ケビン・ウォーシュ氏がFRB議長に就任するとの観測が流れる中、株式市場と仮想通貨市場の両方が「数ヶ月間の損失リスク」を織り込む動きを見せています。
金利政策が不透明な時期はリスク資産にとって逆風となりますが、こうしたマクロ経済的な懸念がビットコインを一時的に押し下げる場面こそが、長期投資家にとってはさらなる割安感を生む要因となっています。
戦略的なビットコイン購入の拡大
一方で、ビットワイズ(Bitwise)のマット・ホーガンCIOが指摘するように、最近のビットコインの底堅いラリーは、主に「戦略的な購入」によって支えられています。
マイクロストラテジー社に代表されるような上場企業の継続的な買い増しや、ETFを通じた機関投資家のポートフォリオへの組み込みは、短期的な価格変動に左右されない強力な下支えとなります。
今回のアンケートで投資家が「過小評価」と感じている背景には、こうした構造的な需要の強さが存在しています。
まとめ
2026年4月のコインベース調査と最新のオンチェーン・データは、ビットコインが「弱気相場の出口」に立っていることを明確に示しています。
投資家心理は、これまでの悲観から「割安な資産を蓄積するフェーズ」へと明確にシフトしており、各種オンチェーン指標もまた、現在の価格水準が長期的な投資価値において極めて魅力的な「バリュー・ゾーン」にあることを証明しています。
もちろん、FRBの金利政策や地政学的な不透明感など、短期的な下押し要因は依然として存在します。
しかし、7割以上の投資家が現状を過小評価と断じ、機関投資家の8割以上が弱気相場の終盤を感じ取っている事実は、次の強気サイクルに向けた巨大なエネルギーが水面下で蓄積されていることを物語っています。 投資家にとって、現在は短期的な価格変動に一喜一憂する時期ではなく、データの裏付けに基づいた長期的な戦略を再構築すべき極めて重要な時期であると言えるでしょう。

