2026年に入り、仮想通貨市場は新たな局面を迎えています。

ビットコイン価格は2月の安値から約20%もの力強い反発を見せ、投資家の関心は再び最高値更新へと向いています。

この上昇劇の背景には、現物ビットコインETFへの資金流入や長期保有者による買い増しなど複数の要因が絡み合っていますが、市場の専門家は「真の主役」は別に存在すると指摘しています。

大手仮想通貨投資会社Bitwiseの最高投資責任者 (CIO) であるマット・ホーガン氏は、このラリーを牽引している最大かつ単独の要因として、ある企業の圧倒的な購買力を挙げました。

ビットコイン上昇を支える「Strategy社」の圧倒的プレゼンス

ビットコインが7万5000ドルから7万9000ドルのレンジで推移する中、市場関係者の多くは現物ETFの動向を注視してきました。

しかし、Bitwiseのマット・ホーガン氏が発表した最新のレポートによると、現在の価格上昇において最も影響力を持っているのはマイケル・セイラー氏率いるStrategy社です。

同社は2026年4月下旬のわずか1週間足らず (4月20日から4月26日) の間に、3273 BTCを約2億5500万ドルで追加購入しました。

これにより、同社のビットコイン総保有数は81万8334 BTCという驚異的な数字に達しています。

これは世界最大の資産運用会社であるブラックロック (BlackRock) が顧客に代わって保有している約81万2300 BTCを上回る規模であり、一企業が保有する量としては歴史上類を見ないレベルに達しています。

ETFを凌駕する購買力の源泉

ホーガン氏は、過去8週間の市場データを比較することで、Strategy社の影響力を明確に示しています。

項目購入・流入額 (過去8週間)備考
Strategy社の直接購入約72億ドル市場最大の買い圧力
現物ビットコインETF全体約38億ドル3月1日以降の純流入
長期保有者 (Liveliness等)継続的な買い増し市場の底堅さを証明

上記の通り、Strategy社による購入額はETF全体の流入額の約2倍に達しており、ホーガン氏が「最近のラリーにおける単独で最大の要因」と断言する根拠となっています。

永久優先株「STRC」がもたらす無限の購入サイクル

なぜStrategy社はこれほどまでに巨額の資金をビットコインに投じ続けることができるのでしょうか。

その鍵を握るのが、同社が発行する永久優先株STRCの存在です。

この金融商品は、投資家に対して固定の配当を支払う代わりに、調達した資本の大部分をビットコインの購入に充てるという独自の仕組みを持っています。

高利回りとビットコイン・クッションの魅力

現在、ジャンクボンド (劣後債) の利回りが7%を下回る中で、STRCが提供する11.5%という高利回りは、利回りを求める投資家にとって極めて魅力的な選択肢となっています。

  • 強固な担保資産: 400億ドルを超えるビットコインの資産的裏付け (クッション) が存在すること。
  • インフレヘッジ: 発行された資金が即座にハードアセットであるビットコインに変換されること。
  • 機関投資家の避難先: プライベートクレジット市場から流出した資金の受け皿となっていること。

ホーガン氏は、このSTRCを通じて今後さらに数十億ドル単位の資金が調達され、それがそのままビットコイン市場への買い圧力として還元されると予想しています。

マイケル・セイラー氏は「ビットコイン価格が年率20%で上昇し続ければ、配当を永久に支払い続けることができる」と豪語しており、この「ビットコイン・フライホイール」戦略は、今のところ完璧に機能していると言えるでしょう。

42年間の配当余力

現在のビットコイン価格水準であっても、Strategy社は既存の配当を最長42年間支払い続けることが可能な計算です。

この財務的な余裕が、市場の不透明感に関わらず毎週のようにビットコインを買い増す「セイラー・シグナル」の継続を支えています。

サトシ・ナカモトを超える日は来るのか

仮想通貨界において、最大のビットコイン保有者はネットワークの創設者であるサトシ・ナカモト (Satoshi Nakamoto) であると長年信じられてきました。

サトシが保有すると推定されるウォレットには、約110万 BTCが眠っており、これは総供給量の約5.5%に相当します。

しかし、Galaxy Digitalのリサーチ責任者であるアレックス・ソーン氏の分析によれば、現在のペースでStrategy社が買い増しを続けた場合、今後2年以内にStrategy社の保有量がサトシ・ナカモトを超える可能性があるといいます。

保有量逆転へのカウントダウン

Strategy社がサトシの保有量に並ぶためには、あと約27万7666 BTCを追加で取得する必要があります。

2026年に入ってからの同社の購入ペースは月によって変動があるものの、4月20日には1日で3万4164 BTCを取得するなど、そのスピードは加速しています。

  1. 2026年2月の最小購入: 855 BTC
  2. 2026年4月の最大購入: 3万4164 BTC
  3. 現在の総保有量: 81万8334 BTC

一企業の保有量が創設者の推定保有量を超えるという事態は、ビットコインの分散化という観点からは議論を呼ぶ可能性がありますが、市場においては「究極の買い手」としての信頼感をさらに強める結果となっています。

まとめ

2026年のビットコイン市場は、これまでの個人投資家中心の熱狂から、Strategy社のような高度な金融スキームを駆使した上場企業による「国家規模の蓄財」へと変貌を遂げました。

Bitwiseのマット・ホーガン氏が分析したように、ETFの流入も重要ではあるものの、現在の価格形成において支配的な影響力を持っているのは、紛れもなくStrategy社の断固たる購買意欲です。

永久優先株STRCという仕組みを通じて、伝統的な金融市場から仮想通貨市場へと資金を還流させる同社の手法は、ビットコインの時価総額を新たな次元へと押し上げています。

今後、サトシ・ナカモトの保有量を超えるという歴史的瞬間が訪れるのか、そしてその時市場はどのように反応するのか。

マイケル・セイラー氏が描くビットコイン・スタンダードの実現に向けた動きから、一刻も目が離せません。