中古本やゲーム、そして現在市場を席巻しているトレーディングカード(トレカ)のリユース事業を「ふるいち」ブランドで展開するテイツー(7610)が、2026年2月期の通期決算を発表しました。

同社が掲げる「再成長期」への移行が鮮明となる中、連結売上高は422億円に到達。

任天堂の新型ハードウェア発売に伴う特需という追い風を確実に捉えつつ、次なる成長フェーズに向けた布石を打っています。

本記事では、決算数値の裏側にある事業構造の変化と、投資家が最も注目する株主還元の強化、そして今後の株価動向について、多角的な視点から深掘りしていきます。

2026年2月期決算の全貌:売上高422億円の背景

テイツーが発表した2026年2月期の本決算は、売上高422億円と前期を上回り、利益面でも大幅な伸長を見せました。

特筆すべきは営業キャッシュ・フローが19億円を確保しており、現金の創出能力が高まっている点です。

これにより、積極的な店舗投資や海外展開、さらには株主還元への原資が十分に確保されている状況にあります。

ゲーム機特需を吸収する「実力値」の伸長

今期の業績を語る上で欠かせないのが、任天堂の新型ハードウェア発売による特需です。

同社はこの影響で約20億円を超えるイニシャル需要が発生したと分析しています。

通常、こうしたハードウェア特需は一過性のものであり、翌期の反動減が懸念されるところですが、テイツーのガイダンスは強気です。

2027年2月期の売上高予想を425億円としており、ハード特需が剥落する分を、中古品の買取販売やトレカ部門の成長で補う計画です。

これは、店舗あたりの「稼ぐ力」が確実に底上げされていることを意味しており、単なる一過性のブームに終わらない、リユース市場での盤石な地位を築きつつあることが伺えます。

「再成長期」を支える3つの多角化戦略

同社は現在、既存の店舗運営のみに依存しない「事業ポートフォリオの複線化」を急ピッチで進めています。

これは、2029年2月期に売上高500億円、営業利益25億円を目指す中長期計画の要となっています。

海外・BtoB・IPビジネスの進展

特に注目すべきは以下の3領域における進捗です。

  1. 海外展開:2025年7月にオープンした台湾1号店が軌道に乗り、現在2号店の出店準備が進行中です。日本のサブカルチャーやトレカの需要はアジア圏で極めて高く、今後の成長余地は国内以上に大きいと予測されます。
  2. BtoB領域(TAYS):トレカ読取査定機TAYSは、大手企業との契約獲得が進んでいます。査定の自動化はリユース業界共通の課題であり、これを外部へ提供する外販ビジネスは、在庫リスクのない高利益率モデルとして期待されます。
  3. IPビジネス:人気ゲーム「NIKKE」のPOPUPショップ運営など、単なる中古品の売買に留まらず、コンテンツホルダーと連携した新しい収益源の確保に成功しています。

株主還元と投資指標:特別配当のインパクト

投資家にとって最大のサプライズとなったのが、配当方針の強化です。

2026年2月期の期末配当は、普通配当4円に加えて特別配当1円を上乗せし、合計5円となる方針が示されました。

項目数値(2026年4月28日時点)
株価140円
予想年間配当5.0円(特別配当含む)
配当利回り3.57%(修正後)
中長期売上目標(2029年2月期)500億円

保有する有価証券の売却益を原資とする今回の特別配当は、経営陣の「株主重視」の姿勢を示す強いシグナルと言えます。

現在の株価水準(140円前後)から計算すると、利回りは3.5%を超えてくる水準となり、中小型株としての魅力が増しています。

テイツー(7610)詳細情報:Yahoo!ファイナンス

市場の評価と今後の株価推移予測

今回の決算を受け、市場の反応は「短期的には底堅く、中長期的には上昇余地あり」と分析します。

上昇シナリオ

トレカ相場が再び上昇基調にあることが追い風です。

特に海外市場での日本版トレカの需要増が寄与すれば、次回の四半期決算で上振れ期待が高まります。

また、TAYSの大口契約がさらに積み上がれば、テック企業としての側面が評価され、PERのマルチプルが切り上がる可能性があります。

下落・よこばいシナリオ

一方で、新型ハード特需の反動が想定以上に大きく、2027年2月期の第1四半期で増収を維持できない場合、成長鈍化を懸念した売りが出る可能性があります。

現在の株価140円付近は、将来の成長をある程度織り込んだ水準でもあり、新たなポジティブ材料が出るまでは、135円〜155円のレンジでの「よこばい」推移が続く局面も考えられます。

まとめ

テイツーの2026年2月期決算は、リユース市場の追い風を確実に捉えつつ、次なる「再成長期」に向けた強固な基盤を証明するものとなりました。

売上高422億円という数字以上に、海外展開やBtoBビジネスといった「収益の複線化」が着実に進んでいる点は高く評価できます。

特別配当を含む5円の配当実施は、同社のキャッシュフローに対する自信の表れと言えるでしょう。

今後、海外店舗の拡大スピードや、トレカ市場の相場動向が鍵を握りますが、堅実な経営手法とIPビジネスへの挑戦を両立させる同社の姿勢は、長期投資家にとって非常に興味深いフェーズに入ったと言えます。

2029年の売上500億円目標に向けて、同社がどのような成長曲線を描くのか、引き続き注視が必要です。